子どもの便秘について
はじめに
「数日うんちが出ていないけれど大丈夫?」「下痢のような便がパンツについているけれど便秘?」など、お子さんの排便について悩む保護者の方はとても多くいらっしゃいます。
子どもの便秘は放置すると悪化しやすく、早めのケアが大切です。今回は、子どもの便秘のサインや「便漏れ」の仕組み、ご家庭でできる対策、小児科を受診する目安について分かりやすく解説します。
子どもの「便秘」とは?こんなサインに注意!
毎日うんちが出ていなくても、機嫌がよくスルッと出ていれば問題ない場合もあります。逆に、毎日出ていても便秘というケースもあります。
以下のような様子が見られたら、便秘の可能性があります。
- 便の状態・出かた
- うさぎのコロコロフンのような硬い便が出る
- 排便のときに痛がって泣く、お尻から出血する
- うんちをするときに顔を真っ赤にして強く力む
- 下痢のような便や、少量のかたまりがパンツに少しずつ漏れ出ている(便漏れ)
- 日常の様子
- 便をがまんしようとして、体を硬直させたりモジモジしたりする
- お腹が張っている、触ると嫌がる
- 食欲がない、なんとなく不機嫌
知っておきたい!便秘による「便漏れ」の仕組み
「便秘なのに下痢やおもらしをするの?」と驚かれるかもしれません。
直腸に大きくて硬い便の塊が長期間留まっていると、腸が伸び切って感覚が鈍くなってしまいます。すると、隙間からゆるい便や液体が漏れ出てしまい、パンツを汚してしまうことがあります。
これはお子さんがわざと漏らしているわけではなく、便秘が原因で起きる症状(溢流性便失禁)です。「漏らしちゃダメでしょ」と責めたりせず、便秘の治療をしてあげることが解決への第一歩となります。
なぜ子どもの便秘は起こるの?(よくある時期と原因)
子どもの便秘は、成長の節目で起こりやすい特徴があります。
- 離乳食の開始・移行期:母乳やミルクから固形物に変わり、水分量が減るため
- トイレットトレーニング(トイトレ)期:失敗のショックや、トイレに行くことへのプレッシャーから我慢してしまう
- 入園・入学期:生活環境の変化や、学校・園でトイレに行くのを恥ずかしがって我慢してしまう
一度排便時に痛い思いをすると、「痛いからうんちを我慢する」→「さらに便が硬くなる」→「もっと痛くなる・漏れてしまう」という悪循環に陥りやすくなります。
ご家庭でできる便秘対策
まずは日々の生活の中で、できることから試してみましょう。
- ① こまめな水分補給 特に喉が乾いていなさそうに見えても、お茶や水などを少しずつ飲む習慣をつけましょう。
- ② 食物繊維と発酵食品を意識する 野菜(芋類、根菜)、海藻、果物(プルーンやバナナ)、ヨーグルトなどを食事に取り入れましょう。
- ③ リラックスできるトイレ習慣 トイトレ中の場合は焦らせず、便座にお尻がしっかり安定するよう足台(踏み台)を置くと踏ん張りやすくなります。食後の決まった時間にトイレに座る習慣をつけるのもおすすめです。
- ④ 優しく「の」の字マッサージ お腹に手を当て、時計回りに「の」の字を描くように優しくマッサージするのも効果的です。
小児科を受診する目安
以下のような症状がある場合は、無理に家庭だけで解決しようとせず、小児科にご相談ください。
- 5日以上排便がない、または痛がって毎回激しく泣く
- パンツに便が漏れる(便漏れ)症状が続いている
- 出血を繰り返している
- 腹痛を訴えたり、吐き気・嘔吐がある
- 体重が増えない、元気がない
小児科では、お子さんの年齢や状態に合わせた安全なお薬(便を柔らかくするシロップや粉薬など)を処方し、固まった便を取り除いて無理なく排便できるサイクルを作っていきます。
便秘薬や浣腸はクセになる?
保護者の方からよく「薬や浣腸を使うとクセになり、自力で出せなくなるのでは?」というご質問をいただきます。
小児科で第一選択として処方されるお薬(酸化マグネシウムやモビコールなど)は、便に水分を含ませて柔らかくするタイプのお薬です。大腸を直接刺激して無理やり動かすものではないため、長期間服用しても癖(依存性)になる心配はほとんどありません。
むしろ、「薬に頼りたくない」と治療をためらって硬い便が出ない状態を放置してしまうと、腸が伸び切って便意を感じにくくなったり、排便時の痛みから「うんち=痛くて怖いもの」と学習して便を我慢してしまう悪循環に陥りやすくなります。お薬や浣腸で「痛くなくスルッと出せる成功体験」を積み重ね、腸の動きや便意の感覚をしっかり戻してあげることが、便秘治療において何よりも大切です。自己判断で急にやめず、医師と相談しながらゆっくり調整していきましょう。
まとめ
子どもの便秘や便漏れは、「そのうち治るだろう」と放っておくと慢性化してしまうことがあります。「たかが便秘」「ただのおもらし」と思わず、お子さんが辛そうにしていたり気になる症状があったりする場合は、お気軽にクリニックにご相談くださいね。